お久しぶりです。アニメ担当のななみそです。
今回は先日最終回を迎えた「響け!ユーフォニアム3」において、自分が最も感動した演出について好き勝手に語ろうと思います。3期全体に対する感想ではなく、自分が初見時に最も注目していたポイントについてのみ絞ってやっていきます。ちなみに久美子と麗奈の関係性についてが主です。色々と細かいことまで言い出すとぐだぐだになりそうなのと、そもそもまだ各話1回ずつしか見ていないので、3期全体に対する考えは出力できるほどまとまってないです。1期や2期は本当に何度も何度も見たからなぁ。真夜中に一人黙々と同じアニメを何度も見ることが出来てたあの頃が懐かしいですね。ということで以下本題。
今回取り上げるのは1話、2話、12話。それ以外の回にも今回の話に繋がる描写はあったかもしれないけど、拾えてないから一旦パスで。アニメの画像も拾ってこれなかったから、本編を確認したい人は確認しながら読んでね。
12話を見終わった時の漏れの感動を語りたい都合上、11話放送時点でどういう感想だったかを最初に語らせていただく。正直にぶっちゃけると、11話の段階ではユーフォ3期は1期や2期と比べると駄作になるかもなと思っていた。個人的に3期には黄前久美子の””完成””を期待していたから。
一旦10話までで部長としての久美子は描き切ったのかな~という感じはあったから、流石に残りは奏者としての久美子にフォーカスするのだろうと期待しながら蓋を開けた11話の内容がかなり不穏だったんだよな。進路の話に尺を使った割りには結論が「音大には行かない」で、これどうするんだ?となってた。音大に行くことになるとは思ってなかったけど、その決断の過程に何か仕掛けがあるのかなくらいの期待はあった。オーディションが3回あるという構成と、後述する1話の某シーンを見た時点で最後は久美子がソロを取ると信じて疑ってなかったから、このまま無難に頑張ってオーディションで競り勝って、麗奈と一緒にソロを吹いて全国金で大団円なのかな~。まぁそれも悪くはないのか。いやでもな~ユーフォにはもっと高いレベルを目指してほしいけどな~とか勝手なことを思っていたんだよね、愚かな漏れは。
あと11話ラストの麗奈との関係性もね~。それってただの友情じゃん?ってな。もちろん友情ではあるんだろうけど、この2人の関係性ってもっとしんとした重厚さがあったはずだけどな~麗奈視点での音楽の重みがな~みたいな感じで、関係性オタクな部分でも結構冷めた感じだった。
この2つの不安や不満は久美子がソロを奪還することでまとめて払拭されるはずなんだけど、11話終了時点ではどう考えても真由ちゃんからソロを奪還するための仕掛けが足りてなかった。というかほぼ無かった。でもソロは奪還するに決まってるじゃん?これはメタ読みとか超えて、物語上の必然じゃん。いくら予定調和が退屈だからって、ちゃぶ台返せばいいってもんでもないわけだから、ソロ奪還はユーフォ3トゥルーエンドへの必須フラグだよ流石に。でももう次回の12話でオーディションだし、このままぬるっとソロになるのかなぁともやもやしていたワケ。
ようやく演出面の話にたどり着いた。上でも少し触れたけど、そもそも久美子が奏者として麗奈に並び立たなければならないと信じて疑わなかった根拠にあたるシーンが3期序盤にあるという話。そう、根拠があるんですオタクの妄想ではないんです信じてください。
ユーフォ3期1話で最も印象的なシーンはどれか?もちろん人によりけりだろうが、個人的には17分くらいからの、久美子が麗奈に「追いついた」と階段で言うシーンを挙げたい。何故なら、このシーンはめちゃくちゃ変だから。
中学最後の大会で、ダメ金だけど金でよかったと思った久美子と、全国に行けなかったとギャン泣きした麗奈という対比は、黄前久美子という人物を動かすメインエンジンであり、この作品自体の出発点でもある。そういう象徴的なシーンを3期の1話に被せくること自体は自然だしエモい。3期は1期や2期を踏襲したような演出が作品を通してかなり多いしね。でもこのシーンはおかしい。どう考えても2人の位置関係がおかしい。
久美子は去年全国に行けなかった時に悔しかった。ようやく中学の時の麗奈の気持ちに追いついたと言ってるんだけど、久美子は階段の下で、麗奈は階段を登ってる途中なんだよ。追いついたという台詞を喋ってるのに、麗奈が上で久美子が下に立ち位置が分かれてるのはね~~~追いついてないってことだよね~~~~。久美子と麗奈が目線を合わせて同じ地面に立って言うべき台詞を、あえてずらしてる。
3期の1話でいきなりこの残酷な演出をぶつけられた漏れは、なるほどねと。3期は久美子が本当の意味で麗奈に並び立つことがテーマのひとつなのねと。了解しましたと思ってたワケ。
ほんで、2話でまた階段なわけよ。3分20秒くらいからの真由ちゃんが久美子に自分が吹部に入ってもいいのかを問う場面。ここも階段で話してて、且つ真由ちゃんの方が階段の途中で、久美子は階段の下なんだよな~。またしても久美子が見上げる形になってる。1話で真由ちゃんのユーフォを橋の上で聴いた麗奈が久美子の方が上手いと言うんだけど、このシーンはそれへのカウンターになってる。少なくとも現状では黒江真由は久美子を超える存在だと示されてる。1話で「追いつく」というキーワードと位置関係の差を同時に出すことで、階段を階級のシンボルとして決定づけてからのこれだからなぁ。
この時点で漏れは久美子が階段を上る描写が来る回が楽しみやな~ニチャニチャって感じだったんだけど、待てど暮らせどそんな兆候は無く、気づいたら12話だったというね。分かりますか!?漏れはずっと待ってたの久美子が階段を上る時を!
ユーフォ3期の仕掛けの一つに階段があるというのは前提とさせていただいて、12話の感想を語る。ガッチでこの回ヤバくて、事実上の最終回だったと言っても過言ではないと思ってる。滝先生とか真由ちゃんの話も一気にケリをつけてると思うけど、今回は久美子と麗奈に絞る。
麗奈が改札で止められるところ(4分30秒くらい)からの一連のシーンもね~なかなかねぇ。11話のラストとかもそうだけど、今振り返ると麗奈が迷ってるというかビビってる描写をちょいちょい挟んできてたよな。改札に止められるのもそうだし。
その後1話の階段のシーンを回想でもう一度入れて印象付けつつ、愛の告白もなぞって、あとはオーディションを残すのみという状況に。オーディションもね~グロいよね。滝先生が言ってる通り真由ちゃんと久美子にほぼほぼ実力差が無いとされている以上、音だけで投票したら半々に割れるよなぁという。それで最終的に麗奈に選ばせるの、後から考えたら完璧すぎるけど残酷すぎ。でも、初見の時は久美子が選ばれると思ってたから、本当に興ざめだったんだよ。だって麗奈はどっちが久美子かは分かるわけじゃん流石に。それで久美子を選ばれてもな~って。音だけで決めたと誰がどうやって証明できるんや?と。ユーフォ3期対戦ありがとうございました。では私は1期と2期に帰らせていただきますと思いかけた瞬間、黒江真由が一歩前に出て、「え?」だよね。
意外だったから=凄いではないんだけど、流石に椅子から転げ落ちた。多数決の最後を麗奈に決めさせた時点でやり直しも考え辛いし、ガチでソロは真由ちゃんじゃんみたいな。北宇治高校吹奏楽部の物語において久美子じゃなくて真由ちゃんがソロを吹くことの意味とは?って感じで一気に引き込まれた。でも、もしもこれを納得できなかったらとんでもないことが起きるぞという危機感も同時にあった。なんにせよ、漏れの頭の中にだけあった陳腐な響け!ユーフォニアム3を、現実の響け!ユーフォニアム3が悠々と飛び越えた瞬間だった。
そして大吉山なんよ。ある意味で響け!ユーフォニアム始まりの地だからね大吉山は。ユーフォを「特別」なアニメにしたのは1期8話での大吉山のシーンだと思ってる。あの回もめちゃくちゃ凄いし大好きだから、実質最終回みたいな回のラストが大吉山なのは分かり手だな~という感じ。始まりと終わりは同じというわけよ。エヴァンゲリオンだね。
そして満を持して1話の階段のシーンが回収される。麗奈に、分かってた上で真由ちゃんを選んだと告白された久美子が、私も選ばれないとどこかで分かってたと言いながら、段差を下りる。下りるんだよ。階段を上るだろう上るだろうと待ち構えてたら、下りたんだよな。参ったね。この後の、特別であり続けた麗奈を賞賛し、久美子なりの正しさを示す台詞回しからの「死ぬほど悔しい」でね。もう万感なわけよ。麗奈に追いつく久美子としての究極の描写だと思うし、その過程で「正しさ」というより抽象的な部分で2人はこれからも繋がっているんだというアンサーが含まれているのがより素晴らしいと思う。いうても音楽アニメなわけだし、久美子が麗奈に追いつくには奏者として並び立つほかないでしょという固定観念を粉々に打ち砕かれたよね…。麗奈も漏れも音楽という共通項が無くなったら麗奈と久美子の関係は何か違うものになると感じて、不安に思ってたけど、久美子は麗奈と「信念」で繋がっていると…。2人の絆は音楽を超えた所にもちゃんとあるんだと…。
この時点でもう既に最高だぁ響け!ユーフォニアム…漏れはもう満足じゃ…あとは気持ち良く全国で金取ろう!と思ってたんだけど、久美子の「死ぬほど悔しい」の直後、今度は麗奈が段差を下りるんだよね…久美子と同じ段まで…。麗奈が段差を下りた時はね~~デカい声が出たよね。家族と見てたんだけど、わああああああああって叫んじゃった。
久美子が下りるのと麗奈が下りるのとでは意味が違うんだよ。言ってしまえば、麗奈は作中通して一度も階段を下りたことがないわけじゃん。上り続けることで特別になるというキャラじゃん。その麗奈の方が段差を下りて、久美子と並び立つんよ。えげちぃねぇ~。でも、ここまでの描写の積み重ねのおかげで、麗奈が自分の信念を曲げたという意味にはならないのよ。確かに久美子が麗奈に追いついたんだけど、描写の上では久美子が上らずに、麗奈が下りた。ここマジで美しすぎて発狂しそうだった。2人の位置関係を揃える上で、久美子が上るよりも麗奈が下りる方がしっくりくるというのが凄いんだよな。麗奈は下りない方がキャラとしては綺麗に一貫するはずなのに、そこが逆転するのがあまりにもロマンチックだ…。漏れがユーフォ3期に期待していた久美子の完成と、そこに加えて麗奈との関係性の決着に関して、これ以上は無いと思えるほどのものを見せてくれて本当に感激したし、打ちのめされた。
12話を見た後だと久美子がソロを吹くと思いこんでた自分がマジでバカに思える。久美子がソロを吹けない以外でこのエンディングにはたどり着けなかった。このトゥルーエンドを用意した原作者すげ~と思ってたの、12話を見た次の日まで。翌日さ~Twitter(旧X)のトレンドに「再オーディション」みたいなのがあって、それを開いた時ガチで顔面蒼白になったよね。12話の展開ほとんどアニオリ?it’a true wolrd.狂ってる?狂ってるよ。
アニメにハマった作品は出来るだけアニメで楽しみたいタイプだから原作は未読なんだけど、これ原作勢の衝撃ヤバかっただろうな。原作を読んでない以上比較はできないから、アニメ版のユーフォだけを追いかけてきた自分としては、ユーフォ3期は間違いなく名作だったとさせていただく。まぁ尺の都合で黒江真由とか滝先生が舞台装置に近かったり、演奏シーンが少なかったりと物足りないところもあったけど、一番期待してた部分に関しては気合の入った回答を見せてくれたなと思ってる。真由ちゃんも滝先生も読み取ろうと思えばいくらでも読み取れそうだしな。その辺はこれから整理していけたらなと思う。原作もあるしね。
何より無事完結してくれたのが何よりうれしい。すべてに感謝。
以上になります。どのくらい伝わるかは分からないけど、12話を見てた時の漏れのテンションが少しでも伝わっていればいいなと思います。いや~マジで良かったよ。好きな作品の最終章で感動できるってめちゃくちゃ幸せなことだと思うんだよね。面白いアニメの続編ってちょっとつまらないのがデフォみたいなところあるから。特にユーフォは1期と2期の完成度すごかったし。麗奈が段差を下りた時に、上手く言えないけど全てが報われた感じがしたんだよね。まさに「完」だった。自分の人生の中だと、ドラゴンボールでベジータの「がんばれカカロット…お前がナンバー1だ!」という台詞を読んだ時の感情が一番近い。キャラ同士の関係性は違えど、作品が終わる前に、その作品を締めくくるという意味で同じ類いのものだったなと思う。
ここまで食らわされるアニメに出会うことはそうそうないと思うけど、また色々アニメも見たいなぁと思わされた。でも、競馬とソシャゲと生活の合間を縫ってアニメ見るの難しいんだよな。面白いアニメほど我慢できずに一気に全部見ちゃって崩壊するし。まぁまた何かあればお会いしましょう。アニメ担当のななみそでした。